深津 剛さん　#代表 #ヘアスタイリスト

アシスタント時代、アメリカのドラマSEX&THE CITYにはまりN.Y.に強く憧れました。新卒で入った下北沢のサロンでアシスタント4年、スタイリストとして1年働き、アメリカに行くからと店を辞めました。でもアメリカの就労ビザは簡単には取れなかった。行き先を変更し、ワーキングホリデーを利用してオーストラリアのメルボルンに。ラッキーなことに台湾人オーナーのヘアサロンで雇ってもらえました。スタッフは全員アジア人、共通語は英語。お客様との会話も当然英語。でも僕は英語を全く話せませんでした。まずはサロンで使う簡単な英語から…。分からない単語はすぐに調べ、単語帳に書いて必死で覚えました。1年で話せるようになりました。無謀だったかもしれませんが、英語を話したいなら英語圏に行くのが一番!!僕の実体験です（笑）。オーストラリアは免許不要、日本人美容師は技術力が高いと人気があります。1年でサロンの売上1位になり、25,6才の若造が、日本ではありえない位の給料を貰っていました。1年の約束でしたが、オーナーが「このままここで働かないか」と誘って下さいました。

憧れのN.Y.で美容師に!!

でもN.Y.への憧れの方が強かった。一旦日本に戻り、アーティストビザで渡米しました。N.Y.に知り合いはいなかったので、サロンを回り自分を売り込み、無事にマンハッタン、ミッドタウンのど真ん中にある日系サロンで雇ってもらえました。そのサロンのお客さまは日系人と欧米人が半々位。そこでは現地のアメリカ人に加えて、僕を含め4人の日本人が働いていたのですが、驚いたことに、その日本人4人全員が国際文化の卒業生だったんです。
実際に憧れのN.Y.で働いてみて、技術的な違いとか戸惑いはそれほどなかったです。そもそも日本人の髪は硬くて太く、直毛や微妙なくせ毛だったりもするので難易度が高い。それを普段から切り慣れている日本人美容師は、欧米人のさほど質感調整をしなくてもまとまるような髪質、骨格もキレイなお客さまのヘアカットは、慣れれば非常に楽。カラーも日本人の髪は黒ベース、欧米人はもともとの色素が薄いのでカラーチャートのままの色が出るからやりやすいんです。ただし、N.Y.のヘアカラーリストのテクニックレベルは日本より断然上でしたね。

世界の中心 N.Y.にある２つのCENTRAL

著名なヘアカラーリストの仕事現場に立ち合わせてもらったことがあります。その人はツバの広い大きな帽子にサングラス、コートを羽織ったゴージャスな姿で現れ、到着するやいなやコートを脱いで早速仕事に。そのやり方は独特で、カラー剤を5つくらい並べてそれを指で髪に素早く塗っていくんです。サングラスをしたままで。「サングラスをしていて色が分かるの？」と疑問でしたが、チェックして流して…仕上がりはめちゃくちゃキレイ。感動ものでした。
N.Y.には、こういう個性的で、技術やセンスが飛び抜けている人がいっぱい集まって来ます。刺激的で面白い町です。
2017年9月、渋谷区松濤にN.Y.のサロンで一緒に働いたメンバー3人とTHE CENTRALをオープンしました。CENTRALには、中心、中枢、要などの意味があります。みんなが集まる場所でありたい、ヘアスタイルを通して人と人とをつなげたい、幸せをつむぎ広げていきたい。大好きな街、N.Y.の真ん中にある癒やしの空間Central ParkとN.Y.の人流・交通の中心であるGrand Central Station。その2つの役割を、サロン名に込めているんです。
（2023年12月8日取材/文・斎藤久子/写真・山口貴弘）

深津 剛（ふかつ たけし）

THE CENTRAL代表。東京都出身。2004年3月渋谷校理容科卒業。都内1店舗を経て、オーストラリアで約1年間働いた後、ニューヨークに。帰国し1店舗経験の後、ニューヨーク時代の同僚2人と共に2017年9月THE CENTRALをオープン。2022年5月には地元の豊洲に2店舗目をオープン、今後は海外への出店を計画している。
THE CENTRAL はN.Y.のサロンで出会ったメンバー3人で立ち上げたサロンだ。左から深津さん、JUNさん、小嶋さん（公私ともにパートナーのJUNさんは渋谷校卒業、小嶋さんは国分寺校卒業）。サロンがある松濤ハウスはアメリカ人オーナーのアメリカ人向けのアパートメントとして建てられたもの。物件を見て「まさにアメリカじゃん!!」と、ほぼ即決でした（深津さん）。

THE CENTRAL

THE CENTRALホームページ
SHOTO：東京都渋谷区松濤2-13-1 松濤ハウス201
TEL：03-6883-9855
TOYOSU：東京都江東区豊洲4-4-25
TEL：03-6691-5042
インスタ→＠the_central_hair
世界一の大都会N.Y。その真ん中にある癒やしの空間CENTRAL PARKと生活活動の起点となるGrand Central Station。大好きな2つのCENTRAL。TOKYOにもそんな場所を作りたい。みんなが集まり、幸せになり、そこからまた新たな幸せを紡いでいく。そんな思いを込めて、ニューヨークのヘアサロンで出会った国際文化卒業の3人が作ったサロン。