- 16.01.18
鏡
遅ればせながら、新年おめでとうございます。
またたくまに松の内も明け、鏡開きとともに松飾りもお焚き上げに回されました。
その鏡開きのことです。正月のお供餅を「鏡餅」と呼ぶ理由にはいくつかあるようですが、有力なのは、丸い鏡のようにあしらうからだといいます。
皇室に伝わるとされる、いわゆる三種の神器といえば、八咫鏡(やたのかがみ)と八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と天叢雲剣(あめのむらぐものつるぎ)の三つですが、鏡餅は、餅で八咫鏡、ダイダイやミカンで勾玉、串柿で剣を見立てるのが古い習慣になっています。
鏡餅には、鏡→丸→「円満に1年を過ごせるように」、そして、開く→「末広がり」の1年でありますようにとの願いが込められています。さらに、カチンカチンのお餅を食べることで、歯固めをし、長寿を願うという意味もあるといいます。
日本では、昔から鏡に対して特別な思いがあったようで、古代の古墳からも銅鏡が多数見つかっています。現代ではあたりまえの「自分の姿を映し出す」ということに、古代人は畏怖の念をいだいたのでしょう。人は、鏡があるからこそ自分の姿を知ることができるのです。生まれて始めて鏡を見た動物が、写った己の姿に驚いたり、かみついたりするという話がありますが、人間も鏡がない時代は、自分の顔を知ることができなかったはずです。
理美容室でも鏡は必需品です。技術者は、鏡を通してお客様と対話をしますが、考えてみればひじょうに特殊な接客法といえるでしょう。
理美容業界には「鏡貸し」という言葉があります。「面貸し」とも「ミラーレンタル」ともいう、90年代にアメリカから入ってきた営業形態です。業界の人には常識のようなものですが、一般の方には説明が必要です。
開業はしたいが資金やスタッフの問題で店を持つ事が難しい、というような人が、他人の美容室の1ブースを借りて営業をするというのが「鏡貸し」。
借りる立場からすれば、前述したように資金等の負担が少なく、自分のお客様への施術だけに集中できるというメリットがあります。貸す方は、空いているスペースを稼働させることができ、一定の収入をコンスタントに得ることができます。いろいろなデメリットも指摘されてはいますが、東京など大都市を中心にどんどん広まりつつあることは確かです。
他の業界、例えばレストランでテーブルとコンロだけ借りるなんてことはありえません。普通のオフィスで片隅のデスクを借りて営業をするということもまずないでしょう。物理的に可能であっても、企業秘密やコンプライアンスをどうやって守るかという問題が発生します。
理美容の仕事にはそのくらいおおらかというか、自由なところがあるのです。「俺の技術は、覗いたくらいじゃ盗めないよ!」という職人気質のようなところもあるのでしょう。腕と鏡さえあれば、どこでもやれる仕事というのは、理美容ならではの大きな魅力といえるのではないでしょうか。(S)
(国際文化学園FaceBook 〈1月12日〜15日〉を再構成したものです)
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