国際文化理容美容専門学校

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厚生労働大臣指定

理容師と美容師の違い

DIFFERENCE

理容師と美容師の違い

理容師(理容)と美容師(美容)の違いはご存知でしょうか。厚生労働省の「衛生行政報告例*1」によると、2022(令和4)年度の従業理容師数は204,883人、従業美容師数は571,810人です。10年前と比較すると従業理容師数は、33,203人の減に対して、従業美容師数は、92,301人の増と対照的な推移となっています。現在は、理容師の約3倍近くも美容師が多く、また理容師美容師養成施設である理容美容専門学校においても理容師を志す高校生より美容師を目指す高校生の方が圧倒的に多いのが現状です。今回は、改めて理容師と美容師の違いについて、特に法的な位置づけから考えてみましょう。

*1 政府統計の総合窓口e-Stat

最初は一つの法律だった?

法律で明確に業務独占資格としての理容(師)と美容(師)の定義が明文化されたのは1947(昭和22)年12月に公布された「理容師法」からです。その後、1957(昭和32)年に「美容師法」が成立し、理容師は、「理容師法」に、美容師は「美容師法」と別々に位置づけられました。そこで第一に、理容師と美容師の違いは、法律的な規定と実際に提供する業務内容の側面から整理することが出来ます。
そのため理容師・美容師養成施設である理容美容専門学校で学ぶ必修課目のなかには「関係法規・制度」という科目があり、公衆衛生の重要性を法規制の側面から詳しく学びます。

「理容師法」と「美容師法」とは?

1947(昭和22)年12月に制定された「理容師法」は、「理髪」の“理”と「美容」の“容”の一文字をそれぞれ取って付けられ、理容業と美容業を包括し、「理髪師」と「美容師」の用語が使用されていました。しかし美容師を含むか紛らわしいことなどが美容業界の不満の残したとされ、その後1951(昭和26)年に「理容師美容師法」と改正・改称され、この時に「理髪師」は「理容師」とされました。さらに1957(昭和32)年に、理容師法から美容師法が分離独立し、「美容師法」が成立しました*2。ここに社会風俗の変化を担ってきた理容と美容の歴史的な変遷を踏まえた制度的な枠組みが成立したと捉えることもできます。換言すれば「理容師法」と「美容師法」は、現代的な理容業と美容業の発展の基礎となる出発点といえるのかも知れません。

*2 社団法人理容美容教育センター(2004)『日本理容美容教育センター50年史』P.46

理容と美容の定義とは?

理容師法の定義する「理容とは、頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えることをいう(理容師法第1条の2第1項)」
美容師法の定義する「美容とは、パーマネントウェーブ、結髪(けっぱつ)、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう(美容師法第2条第1項)」

法律的には、この定義を反復継続的に「業とするもの」が理容師と美容師とされています。理容美容専門学校で学ぶ必修課目の「関係法規・制度」では、この理容師法・美容師法の定義は、施術の具体的な内容を規制するものではなく、例としてあげられているのであり、施術内容を限定したものではない*3と述べられており、実際の業務範囲とその運用にあたってこれまで厚労省(厚生労働省)は、度々通知を出してきました。端的には、容姿を美しくする美容、容姿を整える理容と整理できますが、社会風俗の変化が著しいファッションとトレンドの最先端を担う理容と美容の世界においては、公衆衛生上の課題のみならず提供する業務範囲に関しても度々、議論されてきました。そのため法律の解釈ならびに厚生労働省の通知を理解することがとても重要になります。

*3 公益社団法人日本理容美容教育センター発行(2018年度発行)『関係法規・制度』.P.44

理容所と美容所の違いは?

かつて商店街や街中で目にした「○○理容店」や「○○美容院」の看板に変わり、スタイリッシュな横文字と「〜hair salon~」「〜hair make~」などの文字が躍るヘアサロン。そこで働くのは「スタイリスト」や「ヘアデザイナー」あるいは「メイクアップアーティスト」と呼ばれ、「理容師」か「美容師」なのかも意識しないのではないでしょうか。
「理容師法」「美容師法」では、「理容・美容の業を行うために設けられた施設」を「理容所(理容師法第1条の2第3項)」「美容所(美容師法第2条第3項)」と規定し、構造設備の基準を満たした美容所理容所として届け出て検査確認を受けることが必要であり、かつ理容師は、理容所、美容師は、美容所でのみ働くこととされています。
また従来は、認められていなかった2016(平成28)年からは、理容師と美容師免許の双方の資格を有す者からなる事業所のみに重複開設が認められるようになりました(理容師法施行規則及び美容師法施行規則の一部を改正する省令の施策について平成27年12月9日)。

「床屋さん」「パーマ屋さん」と「サロン」の違いは?

かつては、理容と美容の歴史的な成り立ちから、理容所(室)は、主に男性にカットとシェービングを提供する「散髪屋」「床屋さん」に対し、美容所(室)は、主に女性にパーマネントウェーブを提供する「美容院」「パーマ屋さん」と俗称され、理容師は、男性で、美容師は女性の仕事とされていた時代もありましたが、それは理容と美容の歴史的な淵源の違いが要因となっていたといえます。
しかし今日では、一見すれば、美容所なのか理容所なのかは、判別できないタイプのサロンも見られます。ユニセックス(女性もターゲットにした理容所登録のサロン)やクイックカット(カットのみを提供する専門店で、理容師が働くお店は理容所登録、美容師が働くお店は美容所登録されているケースが多い)、ヘアカラー専門店、アイラッシュサロン(まつ毛エクステンションの専門店)などと称されるタイプのサロンも多く見られるようになりました。社会と消費者のニーズ、また多様化するサービスメニューによって理容所と美容所の在り方も時代と共に常に変化し続けています。

理容師・美容師の業務範囲は?

ご記憶の方もおられると思いますが2015年当時に安倍首相が美容室でカットしているとの発言が物議を醸しました。美容室で男性がカットすることがなぜ新聞*4で話題となったのかは、前述の法的な理容と美容の定義に関連し、利用者が男性か女性の性別に着目した当時の厚生省による1978(昭和53)年の通知が2015(平成27)年に廃止*5されるまで、理容師は女性に対し、カットを伴わないパーマネントウェーブを行ってはならず美容師は、男性に対し、パーマネントウェーブを伴わないカットを行ってはならないとされていたからなのです。今では、違和感のある通知が当時出された背景には、前述の通り理容と美容では、性別と施術内容で住み分けられていたことも指摘できます。当時は、業務範囲を巡り美容業界では激しい攻防が繰り広げられていた時代*6でもありました。また施術内容については普遍性のある理容とアイラッシュに象徴される時代のニーズに伴う多様性のある美容の違いは、国家試験の実技試験の課題にも明確に表れています。
著しく変化するファッションとトレンドの最先端を担い、社会と消費者のニーズに応える新しい技術やサービスを提供していく理容と美容の世界においては、常に理容師法と美容師法の在り方を捉え直すとともに、公衆衛生の向上に資する業務を適正に行うことが求められていると言えます。

*4 日本経済新聞2015年3月4日付
*5 厚生労働省資料理容師・美容師制度の概要等について
*6 全国理美容新聞社(1983)『理美容年鑑‘83』P.85

理容師と美容師の仕事内容の違いは?

伝統的に美容師の業務とされていたのが着付です。結婚式や成人式では、ヘアメイクから着付までを一人で提供できることが美容師の仕事の魅力でもあります。
他方で、理容師のみが提供できるのがシェービングであり(化粧の一部として軽い程度の「顔そり」は、美容師が行ってもさしつかえない)、理容師と美容師の業務範囲の明確な違いとして、美容師のみが提供できるのがまつ毛に対するパーマネントウェーブやエクステンションになります。これは2008年以降数度にわたる厚生労働省の通達により美容の業に位置付けられ、美容所で美容師でなければできない業務とされました。前述の通り、国家試験の課題には理容と美容とでは特に実技試験の課題の違いとして明確に表れています。そこで問われるのは、お客様のニーズに応えられる「腕」と「技術」という事になります。そのため「理容師」「美容師」としての仕事内容の違いは、どのようなタイプのサロンで、そのようなお客様に対し、どのようなメニューを提供するのか、をしっかり捉えることが必要です。

理容師と美容師の今後は?

2018年(平成30年)4月より、どちらか一方の免許を有していれば、もう一方の免許が取得すやすくなる養成課程の法規制が改正されたことで、理容師免許と美容師免許の双方を取得することが従来に比べて、格段に容易になりました。
前述の通り、時代の変化とともに理容師の美容師の専門職としての垣根は低くなってきているといわれます。男性もオシャレなヘアサロン(美容所)に通うお客様も多い一方で、大人の時間と空間を望まれ、近年トレンドとなっている高級バーバー(理容所)を好まれるお客様も増えています。一般的には、長く技術者(プレイヤー)として仕事ができるのは美容師より理容師であるとも言われています。また女性向けの「ブライダルシェービング」やエステティックも含めたシェービングサロンのニーズも高まっています。
そこで美容師がシェービングの技術を提供できようになるため理容師免許を取得する、逆に理容師が美容師免許を取得し、まつ毛エクステンションなどのメニューを提供し、理容の技術に加え、美容の最新ヘアトレンドを発信することでブランド力を高めることも魅力的です。理容所と美容所の重複開設も視野に、理容と美容の双方の魅力を存分に発揮できると考えると、理容師と美容師の今後を占うダブルライセンスにも期待と注目が集まっています。

出典・参考文献

大岳美帆/木村由香里著「美容師・理容師になるには」(2018)ぺりかん社
厚生労働省「理容業の振興指針(令和6年厚生労働省告示第96号)」HP
厚生労働省「美容業の振興指針(令和6年厚生労働省告示第97号)」HP
厚生労働省美容業概要HP
厚生労働省理容・美容のページHP
全国理美容新聞社(1983)『理美容年鑑‘83』
社団法人理容美容教育センター(2004)『日本理容美容教育センター50年史』
公益社団法人理容美容教育センター発行(平成29年発行)『理容師・美容師関係法令通知集平成29年版』
公益社団法人日本理容美容教育センター発行(2018年度発行)『関係法規・制度』
公益社団法人日本理容美容教育センター発行(2018年度発行)『文化論』
日本経済新聞2015年3月4日付電子版HP

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