原宿駅を出た山手線内回りの電車が、渋谷駅に滑り込む少し手前、明治通りに並行して走る車両の左手側がかつて土手のように少し高くなっていて、その土手のようなものの上に『宮下公園』という細長い公園があった。線路は土手よりさらに高い高架になっていたので、よく車窓からそこに住むホームレスの簡易な小屋が見えていた。

　記憶が確かならば、その辺りに大きな駐車場があったハズだから、『宮下公園』は土手の上ではなく、たぶんその駐車場の上にあった、と考える方が自然だ。屋上に土を入れて公園にしてあったということだろう、けっこう大きな木もあったハズだから相当な重量だったに違いない…。

　ともかく、今その『宮下公園』は『MIYASHITA PARK』と名前も新たに整備され、同じ場所に復活を果たしている。かつての駐車場だった部分が商業施設に変わり、屋上が公園のままなのは往時へのオマージュか。

　渋谷駅に近い商業施設の南側は渋谷横丁という雑居飲食店街エリアに、北側はハイファッションブランドが軒を連ねるファッショナブルエリアに、そして屋上の公園は芝生が貼られて樹木が立ち並ぶ開放的なスペースになり、スケートボード場やビーチバレーコート、それにボルダリングボードも配されてアメリカ西海岸を彷彿とさせるようなエリアとなって、かつての昭和感は一掃された。

　ただ、すぐ近くを流れているハズの渋谷川は蓋をされた暗渠（あんきょ）のままで、外に出して欲しかったなぁ、と少し残念なワタクシであります。あの、土木シロウトの戯れ言です、ハイ。

　とまぁ、渋谷はどんどん生まれ変わって、いつ完成形になるのか見当もつかないのでありますが、完成途中の進行形を見るのもまたオツなものでございます。