東日本と西日本。本州をほぼ中央で二分する『フォッサマグナ』（大地溝帯）の西端に位置する『糸魚川―静岡構造線』を境に、日本は地勢に限らず文化でも大きく東西に分離され、食文化や習慣などキッパリ二つに別れているのは周知のこと。

　例えば醤油などは、西日本ではおもに薄口醤油が好まれ、東日本では濃口醤油が好まれる。他にも西日本の丸餅に対して東日本の角餅や、西日本の腹開きの鰻に対して東日本の背開きの鰻、西日本の青ネギに対して東日本の白ネギ、西日本の昆布出汁に対して東日本の鰹出汁などなど、食文化に限ったものだけでも枚挙にイトマがない。

　ことほど左様に、職人の世界だって何故か西日本と東日本では勝手が違う。東日本ではおもに一人の職人が作製の全工程を一人で請け負って商品を完成させるのに対して西日本では分業化され、工程のパートごとに担当する職人が異なり、何人もの職人の手を経て商品が完成する。

　理美容界でも、東西の違いがあるかどうか分からないが、ずっと一人の技術者がお客さまのあらゆるメニューを担当するというスタイルを採ってきた。ところが、現在では分業化が進み、ヘアデザイナーにカラーリスト、ネイリストにエステティシャンにアイリストなどなど、専門分野が細分化されてそれぞれのスペシャリストが活躍している。

　そうした分業化の流れをつくったというか、先駆的に分業化をリードしてきたサロンの一つ、『kakimoto arms』さんの『特別授業』が本学（国際文化理容美容専門学校 渋谷校/国分寺校）の1年生（136期）に向けて行われ、分業化されたセクションのスペシャリストのみなさんが持てる技術で魅せておりました。

　学生たちは、こうしたさまざまなスタイルを持つサロンやスタイリストの仕事を見て、自身の将来像を模索していくのでありましょう。