- 24.11.07
ディスカバージャパン
工業製品に美術品、優れたものが世に出ると、必ず模造品が作られ安価で出回ったりする。
模造品は粗雑なものから精緻なものまでさまざまだが、特に美術品のなかには模造というよりは完コピされ、本物と偽って高値で売買される[贋作](がんさく)と呼ばれるものもあり(もちろん犯罪です)、たまに本物とされていたものが贋作と判明して世間を騒がせたりしている。
一方で、模造品であっても堂々とそれを謳い、高い評価を得て後世になってもコレクターズアイテムになったりして人気を博すものもある。
17世紀。19世紀からフランスで始まる芸術嗜好『ジャポニスム』(日本趣味)の萌芽か、すでにヨーロッパには日本、中国、朝鮮、それに東南アジア地域からさまざまな物品が持ち込まれていた。フランス革命に散った、かのマリー・アントワネットもそれら多くの渡来品をコレクションしていたそうで、日本から持ち込まれた[漆器]もその一つ。
明や清(現在の中国)から持ち込まれた[陶器]は、故に[China](チャイナ)と呼ばれ、日本から持ち込まれた[漆器](しっき)は[Japan](ジャパン)と呼ばれた。ともに往時のヨーロッパにはなかったものだ。
当時、[China]も[Japan]も例外なく模造品がつくられたが、特に日本から持ち込まれた[漆器]を模倣するには大きな障害があった。
[漆器]の塗料となる木材の[ウルシ]はヨーロッパには自生しておらず、代替として[ラックカイガラムシ]から抽出する[ラック]が塗料として使用された。
そのため、[完全模倣]にはならなかった[模造漆器]ではあったが、出来が良かったからか[Japanning](ジャパニング)と呼ばれて人気を博したのだそうだ。
そんな諸々を踏まえ、本学(国際文化理容美容専門学校 渋谷校/国分寺校)に本拠を置く『美容考古学研究所』(村田孝子 所長)が10月25日(金)に開講した『第5回美容考古学フォーラム』のテーマは、ずばり『漆』(うるし)。
[ジャパン]と[ジャパニング]、オリジナルと模造品、どちらをとっても「日本」の名を冠するこの『漆器』にスポットを当て、美術史研究家の日高 薫さんを講師に招き、塗料としての[ウルシ]から工芸品としての[漆器]、それに世界最古の[ウルシ塗料器具]は、なんと縄文時代製! だったのではないかということからも、その歴史についてもご教授いただき、魅力を存分に伝えていただいた。
近年の世界的なツーリズムの影響からか、ある意味[21世紀のジャポニスム]然とした気運高まる世の中にあって、ワタクシたち日本人さえも忘れがちな世界に冠たる『漆器』の魅力。今回のフォーラムは、まさに「ディスカバージャパン」、日本を再発見するような講習でありました。
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