産休というブランクを超えて
野口 麻里子さん #スタイリスト
「大人になったら ヴィダル・サスーンの弟子になる!」。幼少の頃、ヴィダル・サスーンの何たるかも分からずに、そういっては理容師の母親を喜ばせていた少女がいた。名は野口 麻里子。今は結婚して姓も高橋に変わり、一児の母になった。サスーンの弟子にはならず、メンズオンリーサロン『JUNES HARAJUKU』に スタイリストとして勤務している。
彼女は働く母の後ろ姿を見て育つが、理容という仕事が どうしても好きになれなかった。高校3年になり、従姉が美容師ということで美容師を志すが、大好きな母の願いを第一に考え、国際文化の理容科へ入学する。取り敢えず母への恩を果たした後、働きながら通信教育で美容師免許を取ろうと思った。
ところが、入学してみるとクラスメートが みなとても カッコヨクて、それまで抱いていた理容のイメージが一変する。そんなクラスメートと送る学校生活のなかで、彼女の美容への思いは泡のようにポツポツ消えていった。
就職。彼女は自分の入るべき店、早稲田に JUNESという メンズサロンを探しだす。が、その年の採用は終了していた。諦めきれなかった。彼女は オーナーに直談判する。男性のヘアスタイルへの意識を変えたいこと、既存の理容イメージを払拭したいこと。思いは千里を走る。
結婚し 2年半前には子供も出産した。当時。産休と育児休業を経て職場に復帰した。1年のブランク。自分の居場所があるか、不安に押し潰された。救ったのは、8年間 働き続けたプライドと お客様の存在だった。それでも、いつかは第2子が欲しいという彼女に不安は つきまとう。
育児期間に世間の流れから乖離する自分。不安を押しやれるほど、確固たるプライドを持ち続けることは可能なのか。でも仕事と子供、二者択一はないと分かっている。やれることは、来る日のために “自分の足下を固める” ただそれだけ。
「子供を産んで、顔が優しくなった」と お客様。母親になった自分は どこか違うのかもしれないと思った。そして、働く姿を子供に見せたいと思った。理容師生活50年、今も現役で頑張る母の後ろ姿が目に浮かんだ。
野口 麻里子(のぐち まりこ)
JUNES HARAJUKU(ジュネス ハラジュク)スタイリスト。埼玉県出身。2002年3月、渋谷校卒業後、JUNES入社。入社と時を同じくして原宿店がオープンし、オープニングスタッフとして原宿店に勤務する。以来10年、JUNES HARAJUKUと共に理容人生を歩む。2008年男児出産。育児休業1年を経て職場復帰を遂げる。これは同店初のケースで、今後のテストケースといえる。子供は義理の母に預けて勤務しているが、2012年4月から保育園に預ける予定。
東京の美容専門学校は国際文化理容美容専門学校。美容師・理容師の国家資格免許の取得に向けてヘアメイク・カット・ネイル・ブライダル・エステ・着付など、美容のすべてを学ぶ環境です。技術専門の教員が中心に授業や就職面をサポートします。また入学者を募集しています。総合型選抜(旧:AO入学)、学校推薦型選抜【指定校制】(旧:指定校推薦入学)、学校推薦型選抜【公募制】(旧:公募制推薦入学)、一般選抜(旧:一般入学)などのご相談は、オープンキャンパス・個別の見学会にてお待ちしております。