中村 太輔さん　#ヘアカラーリスト #クリエイティブディレクター

ヘアスタイリストとの違いを教えて！

う～ん、簡単に言うと、ヘアスタイリストは髪の毛を カットしたり パーマしたりする人。これらのテクニックを使って空間の中に立体的な形を作ります。いわゆる造形、彫刻のようなものです。これに対して、ヘアカラーリストとはズバリ、「髪の毛に色を塗る人！」です★

カラーリストが使うのは右脳？左脳？

よく、感覚的で直感的な人を右脳人間、論理的で言語・計算力に優れた人を左脳人間とか言いますが、カラーリストが使う脳みそは、右と左、どっちだと思いますか？ カラーリストが使うのは、主に左脳。ヘアカラーの仕事では、元々ある髪の状態に対して、どういう色を、どのくらいの量、どのくらいの時間、塗布すれば、目的の色を導き出せるか、論理的に考える必要があります。

つまり、自分の中に蓄積されたデータ(知識や情報)の中から、必要なものを引き出し、組み合わせて、限りなく正確に目的の色を導き出すことが求められるのです。そういうデータを瞬時に引き出すには、自分の中にストックしているデータは きちんと整理整頓しておかねばなりません。情報処理能力にプラスして、ファイリング能力が求められます。

どういう人が向いてるの？

元々の髪質は人によって さまざまなので、求める色を表現するためには、限りなく正確な方程式を立てて、答えを導き出さなくてはいけません。そういう意味では、数学や化学が得意な人の方が向いていると言えます。

いかに正確な設計図が描けるか！

パッと見、色塗り(ヘアカラー)は、感覚的なコトに感じられるかもしれません。もちろん、お客様の顔を見て、この人には こういう色が似合うだろうとか、この辺りに この色を入れたら良いのでは？とか、そういう、どんな色が良いのかを考えるには、感覚やヒラメキが大切だったりします。

でも、最終的に持っていきたい色が決まったら、それから先、施術に入ってから仕上げるまでに、感覚は一切不要。設計図が描けたら、あとは一気に、その通りにやればいいだけです。形を作っていく作業(スタイリストの仕事)というのは、例えば、カットしている最中にも、ここを削った方がいいとか、つねに感覚を働かせて、技術と感覚を行ったり来たりしながら最終的に形を作っていきますが、カラーリストには それがない。カラーリストにとって大切なことは、「いかに正確な設計図が描けるか」ということなんです。

形のイメージを生かすのも壊すのも色

デザインに最終的に命を吹き込むのは「色」です。色によって、見た目の重さ、堅さ、可愛いとか大人っぽいといったイメージも変化します。この仕事の醍醐味は、全体のイメージを左右できてしまう所。逆に、責任感の重い仕事で、失敗すれば、形も雰囲気も壊してしまうし、イメージもダウン。重要な ポジションです。

今年の流行色は これだから的な考え方はしない。というのも、街を見ていれば世の中の流れは大体分かるから。昔から勉強は好きだけれど、型に はめられることに抵抗がある。僕は とても飽き性。だからいつも、新しいモノ、面白いモノを探している。つねに何か取り入れようという思いはある。好奇心が大切。そして飽き性だから、続いているとも思う。美容は つねに変化が求められる仕事だから。

意識して色を着る、すると元気になる

本来の僕はコンサバ。服も、好みも、考え方も...。でも、この業界に入って、これじゃダメだと考えた。だから服も意識して色物を着るようにしている。そうしないと、黒白、グレーや 紺になっちゃうから。色の力は大きくて、明るい色を着れば気分も高揚する。でも時々、派手だね...とか言われて、少し マヒしてるところがあるのかも(笑)。

中村 太輔（なかむら だいすけ）

imaii(イマイ)ヘアカラーリスト、クリエイティブディレクター。東京都出身。1996年3月、渋谷校卒業。日本で最初のヘアカラーリストを誕生させたimaiiに、初の新卒ヘアカラーリストとして入社。『imaii scaena×colore』でのサロンワークを中心に、ショーやセミナー、雑誌など多方面で活躍している。