山崎 桂さん　#ヘアメイクアーティスト

新卒で入った地元の美容室で丸3年。しかし東京への憧れが捨てきれず、表参道に新しくオープンするサロンのオープニングメンバーに加わった。アシスタントからのスタートだったが、地元ではスタイリストとして働いてきたという自信があった。でも何をやっても叱られる。やり方が違う。美容師としての過ごし方が違う。柔軟に対応できなかった。若さゆえのちょっとした自信、プライド…自分を曲げられなかった。そして心がポキンと折れた。
美容を辞めようとさえ思った。だけど…
「どうせ辞めるのなら、やりたいことをやってから考えよう!!」。そう開き直った。
「ヘアメイクをやりたい」。
運よく、好きなファッション誌で活躍するヘアメイクさんのアシスタントになれた。交通費はいただけるがアシスタント料は出ない。それで構わないと思った。「現場にご一緒させていただき、ヘアメイクの勉強をする機会をいただける」という感覚だ。
都心での一人暮らし。生活費はアルバイトで稼いだ。キャバクラのお姉さんのヘアセットは、夜の短時間である程度お金が稼げた。2、3時間寝られたらいいかな、という生活がつづいた。きつかった。それでもヘアメイクの現場は楽しかった。若かったし体力もあった。だから耐えられた。
25才でヘアメイクを目指した時、「30才までに独立したい」という目標があった。
30才になった今の自分は？独立して、専属もいて、ヘアメイクの仕事で、ある程度余裕をもって生活できるようになった。目標はクリアできた。人生は大まかなヴィジョンがあったほうが進みやすい。人生は計画的に、できれば最短を行きたい。次の目標は？
「40才までに映画のヘアメイクのディレクションができるようになりたいな」。

Q.ヘアメイクになるのにどの位かかりますか？

通説で3年といわれますが、人によってまちまち。私はスタートが遅かったので3年は困る!!と思いました。自分次第だとは思いますが、20代でやっていけている人は少ないかもしれません。30代でもアシスタントの人もいる、そんな世界です。

Q.ヘアメイクになるのに美容師経験は必要ですか？

ヘアメイクプロダクションに所属する場合、美容師経験を求められることも多い。
美容師免許はあってもカットができない人が多いので、カットができると重宝されます。
私自身の経験からいうと、美容師はやっておいた方が良いと思う。頑張ってカットまでできるようになっておくと、自分に自信が持てるし、技術が一つ身についている状態でヘアメイクの世界に飛び込める。私は映画が好きで、映画のヘアメイクを多数させてもらっているのですが、特に映画の場合は撮影が長期になります。役者さんの髪型を維持するためヘアカットやカラーリングが必要になることも。現場では刈上げもやるし、ネイルを塗ることもあります。

Q.結婚・出産・子育て…ヘアメイクの仕事との両立は可能？

昨年5月に出産して3ヶ月休み、9月に現場復帰しました。家庭と仕事の両立は可能ですが、小さい子供がいると夜遅くまで仕事ができないので、その調整が少し難しい。あと映画の仕事も、子供が小さいうちは長期のロケなどは難しいでしょうね（独身の頃は3ヶ月家を空けたことも）。

Q.ヘアメイクってどんな仕事？

いる世界は華やかでも、ヘアメイクの仕事は裏方、引き立て役。タレントや役者さんにとってはマネージャさんの次に近い存在だと思う。近いというのは、物理的にも髪や肌に直接触れる仕事だし、精神的にも寄り添わなくてはいけない。気を遣う場面もたくさんあります。

山崎 桂（やまざき けい）

ヘアメイクアーティスト（アルール所属）。埼玉県出身。2010年3月、国分寺校美容科卒業。新卒入社した地元のヘアサロンでスタイリストに。都内サロン勤務を経て、ファッション誌等で活躍する憧れのヘアメイクさんのアシスタントとなる。2015年独立。2018年アルール所属。雑誌、映画、TVドラマなどで活躍中。
インスタ→@kei.y_hairmakeup

Allure（アルール）

Allureホームページ
TEL：03-5704-8600
山崎さんが所属するAllureは映像、スチール、その他あらゆるヘアメイク業務にスタッフを派遣するプロダクションだ。