菊川 千聖さん　#スタイリスト

打合せで初めてお会いする花嫁様が、私を見て「この子は若いけど大丈夫かしら」などと不安にならないように、私自身の言葉遣いと話し方、ヘアメイクは実年齢より上に見えるよう心がけています。また当日のお支度と事前の打合せ、それぞれの担当者が違う場合もあるので、打合せを任されたら責任重大です。花嫁様の意向がスタッフ間で間違いなく共有できるよう、全力を尽くします。事前の打合せではなるべく具体的に、例えば髪をまとめる位置は上の方が良いか、下の方か。つるっとしたスタイルが好きか、ふわっとした方か、ご本人に確認しながら進行します。
私は、主に新郎新婦のお母様や列席されるご家族の着付とヘアメイクを担当しています。学生時代からメイクや着付はたくさん練習してきましたが、当時は「美しい仕上がり」ばかりを重視していました。しかし、ここでの主役はクラスメイトでもモデルでもなく「そのお客様」です。その方が美しく見えるための着付とヘアスタイルは、一人ひとり異なるので、難しいこともありますが毎回やりがいがあります。
学生時代はできなくて落ち込んで、何度泣いたかわかりません。でも社会人になり、毎週の婚礼に携わる中で「キレイにしてくれてありがとう」と言われると嬉しくて、小さな自信になっています。ほめられると「私は婚礼のプロなんだ」という自信にもなり、前向きに頑張ることができるのです。

Q.婚礼以外のお仕事はありますか？

成人式、七五三のお支度、着物で外出する方への着付やヘアセットなどもします。成人式はヘアメイクの流行があり、昨年はふわふわとボリュームがあるスタイル、今年の成人式はこじんまりまとめるシニヨンや高めのポニーテール1本などシンプルなスタイルが人気でした。

Q.入社のきっかけ

担任の先生の勧めで八芳園の見学に来て、ビューティーサロンの社員の方に案内してもらいました。お庭で写真を撮り合っているご家族に「撮りましょうか」など声をかけ、私にも笑顔で丁寧に接してくださるその方を見て「入社したい！」と思いました。
担任の先生との面接練習では「練習通り聞かれるとは限らないよ」と助言されました。何を聞かれても良い心づもりで挑めたので、面接では丸暗記にならず、自分の言葉で話すことができたと思います。

Q.「結婚式に携わる仕事」を目指す方へ

華やかな花嫁さん目線のイメージだけでなく、仕事をする立場から「披露宴の一日の流れ」は知っておくと良いと思います。事前打合せ、衣装合わせ、当日の花嫁様の動き、親族の動き、撮影のタイミングなど…。
着付はできた方が良いです。花嫁さんが洋装でも、列席者は和装でお支度が必要な方もいますし、和服での髪飾りや小物のルールなどもあります。どんな形でも着物に触れておくと楽です。

菊川 千聖（きくかわ ちさと）

資生堂ビューティーサロン八芳園店スタイリスト。2018年3月渋谷校美容科卒業。婚礼・美容ヘアメイクとして現在は花嫁様との事前打合せと列席者への着付・ヘアメイクを担当。
「一生に一度の挙式に向けて、花嫁様の表情に不安がないかを探りながら、話しやすい雰囲気作りを心がけています。休日はSixTONESを見ています（菊川さん）」。

資生堂ビューティーサロン

資生堂ビューティーサロンホームページ
八芳園店
東京都港区白金台1-1-1
TEL：03-3441-9605
江戸の自然を残す1万坪を超える敷地にあるレストランと結婚式場。隣接する大庭園には歴史・文化的価値の高い大小の建造物が点在する。本館にある美容室2Fは打合せと列席者、4Fは新郎新婦専用で、大切な日のお支度を担う。