栗原 貴史さん　#店長 #アートディレクター

ピーク・ア・ブーの就職試験に一度落ちてるんです。欠員が出て繰り上げ合格したんです。あれからほぼ20年、あっという間でした。嬉しかったことよりも失敗したことばかり覚えています。
今から考えて転機と呼べるものが入社2年目にありました。アシスタントの頃、昇格試験があって、クリアできていない課題を抱えたままテストを受けたんですが、カットに自信を持っていたので、自分ができないものは他の同期もできないとタカを括っていました。ところが蓋を開けてみれば、課題がクリアできていないのは自分だけでした。もう、かっこ悪いやら恥ずかしいやらで、穴があったら入りたい心境でした。その足でサロンにとって返し、練習に没頭したのを昨日のことのように覚えています。
当時の私は髪を切るということを軽く考えていました。髪を切るということは、身体の一部を切るということだということに考えが及びませんでした。以来、髪を切る側の人間は、命を削るように仕事をしなければいけないと肝に銘じています。その時の採点表は今でも大切に保管してあって、上手くいかない時に見ては励みにしています。お守りみたいなものですね（笑）。
2020年にアートディレクターに着任して店長も任されました。同時にデジタル戦略部門の統括も任されていて、ブランドとしての技術へのこだわりを、SNSを活用してどうやって発信して周知させていくのか頭を悩ませています。
それと、オーナーの柔軟さを反映してかピーク・ア・ブーは自由な社風で、スタッフの個性が際立っている。いってみれば多面体なんですが、そういう個の力を店長として最大限発揮してもらうにはどうしたらいいのか、今も模索の毎日です。
（2021年12月22日取材/文・田口淳一/写真・原田真理）

吉見 彩さん　#シニアスタイリスト

「仕事が全て」だった20代。サロンの近くにマンションを借りて、毎日遅くまで働いていました。やればやるだけ技術も売上もわかりやすく成果が現れたし、お客様とのやり取りも楽しく、自分の時間をすべて費やして打ち込んでいました。
30代になった現在、結婚〜出産〜育児休暇を経て、サロンに復帰して1年半が経ちました。子供が小さいうちは、勤務時間や出勤できる曜日に制限があるので独身時代のようには働けない。実際、先輩や友人も出産を機に働き方をセーブする人が多く、サロン内でもママになってからランク（社内の評価システム）を上げた人はいませんでした。
もちろん、働き方を選べるのは良いこと。でも、私は美容師としてのキャリアを諦めたくなかった。なんとなく感じていた「ママになったら第一線からは離れるんだよね」という空気を打ち消して、ママでもランクアップした前例に自分がなろうと思いました。
幸いサロンの理解や家族のサポートも得られ、産後早い段階で週2日出勤することからはじめました。最初は不安だらけでしたが、ありがたいことにすぐに予約が埋まるようになり、徐々に週5日勤務に戻し、今では要望の多かった日曜日も出勤できるようになりました。
実は、出産前は男性のお客様からの指名がすごく多かったんです。でも、復帰後は主婦の方やママさんなど女性のお客様が増えました。私自身、頭では理解しているつもりだったママさんたちの「子どもが小さいうちは自分のことは後まわし…」なんてことを日々自分事として実感しているので、今まで以上にお客様に寄り添った提案ができるようになったと感じています。あとは、短い時間で最高のパフォーマンスをしたいので、色んなことを柔軟に吸収できるようになったかも。これまで「少ない勤務時間は売上でカバー」を目標にやってきましたが、もうすぐ出産前の売上を達成できそう。全ては支えてくれるお客様、スタッフ、家族のおかげ。これからも妥協せず、成長し続けていきたいです。
（2021年12月22日取材/文・芳士戸美帆/写真・原田真理）

栗原 貴史（くりはら たかし）

PEEK-A-BOO NEWoMan新宿 店長/アートディレクター。静岡県出身。2003年3月、渋谷校美容科卒業。同年4月、PEEK-A-BOO入社。以来ピーク・ア・ブー一筋。2020年、同社（社員350名）に10名いるというアートディレクターに昇格。JHA※など多くのコンテストでの入賞歴有。趣味はレコード収集、フォトグラフ。座右の銘/一期一会。
インスタ→＠kuri0804
※Japan hairdressing Awardsの略称。国内の美容専門誌にクレジット（名前）入りで発表された作品及び一般公募作品を対象とし、各部門ごとヘアドレッサーごと作品をファイル、評価し、優れた才能にスポットをあて、年間を総括して賞（アワード）を贈り、ヘアドレッサー達の将来性を祝福する1年間のロングランイベント。—協会クレジットよりー

吉見 彩（よしみ あや）

PEEK-A-BOO NEWoMan新宿シニアスタイリスト。茨城県出身。2008年3月国分寺校美容科卒業。都内1店舗を経て「美容師として挑戦したい』と考えPEEK-A-BOOに入社。好きなことは家族や友人と食事を楽しむこと。
インスタ→＠ayayoshimi（息子さんのかわいいPHOTOも載っています♥）

PEEK-A-BOO NEWoMan新宿

PEEK-A-BOOホームページ
東京都新宿区新宿4-1-6 NEWoMan新宿4F
TEL：03-5361-6003
インスタ→@peekabooacademyofficial
ロンドンのサスーンカットをベースに、日本人の髪質に合わせ独自に発展を遂げたカット理論で美容界を席巻するカッター集団。カットの銘店と謳われている。都内9店舗を展開し、従業員350名を要する。