国際文化理容美容専門学校

渋谷校/国分寺校
厚生労働大臣指定
爪(Nail)に対するさまざまな技術にも長い歴史があります。現在では、ネイルケア(nail care)と総称されることが一般的です。またマニキュアといえば自宅でカラーエナメルを塗るカラーリングのことです。マニキュアのもともとの語源は、ラテン語で、手(マヌス)と手入れ(キュア)を意味することから、手の爪に対する手入れのことを「マニキュア(manicure)」、そして足(ペデス)を意味することから、足の爪の手入れをすることを「ペディキュア(pedicure)」と呼ばれます*1。

世界のネイルの歴史

ネイルの歴史は古く、古代エジプトや中国文化において、王や王妃たちしか爪染は許されず、爪の色はその人の地位や品格を示すものとされていました。ギリシャ・ローマ時代には、上流階級の中で「マヌス・キュア」という言葉が生まれ、流行したとされます。近代に入ると19世紀には、欧米で一般女性に身だしなみとしてのマニキュアが浸透し、職業としてのマニキュアリストも登場しました*2。
そして欧米では、1930年頃から本格的なネイルカラーが売り出され、日本でも爪を赤く塗ることが紹介されるようになり、マニキュアといえば自宅でのカラーリングが一般的でした。

ネイリストの誕生と活躍

1985年にネイル技術に注目していた美容関係者が集い、日本ネイリスト協会(以下、JNA)が設立され、その時に「ネイリスト」という造語が誕生しました。これまでネイル産業を牽引してきたJNAが発行した『JNA創立30周年記念誌』から、日本でのネイルの展開と発展の歴史を振り返ってみましょう。JNA設立翌年の1986年に、JNAから初のネイル教本が3部構成(第1巻「ベーシック」、第2巻「ネイル・イクステンション」、第3巻「ネイル・アート」)で発行されました。そして1996年には、JNAによる初の認定講師試験が実施され、翌年には、第1回目となるネイリスト技能検定試験も開催されました。これは2020年に、実施24年目を迎え、これまでに約86万人もの受験者実績*5があります。1980年代以降、JNAの誕生を追い風にネイルスクールや認定資格の団体も多数登場してくるようになります。1997年に、JNA認定校制度が開始されました。また1999年には、インターナショナルネイルアソシエーション(I-NAIL-A)も設立されるなど、ネイル技術のニーズの高まりを受けてネイル業界が興隆していきました。
1990年には、カリフォルニアで行われた世界的なネイルの大会で日本人が上位を独占し、世界のトップネイリストを一堂に会したコンテストが日本でも開催されるようになります。2000年代に入ると日本人ネイリストが世界的なネイルコンテストで第1位を獲得するなどネイリストの活躍が注目されていきました。

スポーツやカルチャーから注目

繊細なネイル作業

世界的にネイルが世人の注目を集めたのが、1988年のソウルオリンピックの陸上競技で3冠を達成したフローレンス・ジョイナー選手のトレードマークとなった華やかに彩られた長い爪でした*6。日本でもこの頃から京都や大阪の百貨店のなかにネイルサロンが続々とオープンするようになり、大きなイベントやセミナーも開催されるようになっていきます。また1990年代の洋画全盛期に登場したクエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション(1994年公開)』では、ユマ・サーマン演じる元女優役のボルドーカラーのネイルポリッシュが鮮烈な印象を与え、「シャネル」のヴァンプカラーが大流行しています*7。そして2000年代に入ると著名タレントの間でもファッションの一部として定着していき、メンズネイルも注目されるようになっていきました。

ネイル雑誌の発行

活躍するネイリスト

1990年代後半から2000年代に入ると、ネイル専門の雑誌も出版されるようになっていきます。老舗ネイル雑誌の「NAIL MAX」は、1997年の創刊*8(2020年に紙媒体は休刊し、「NAIL EX」として新創刊)。2003年には「NAIL UP!」、2007年には「NAIL VENUS」がそれぞれ創刊されています。そしてネイル関連のメーカー、プロダクツ企業の成長を支えてきたのが前述のスカルプチュアメニューの拡大と、マニキュアと比べても乾燥に時間がかからず、仕上がりも1ヶ月近く持つジェルネイルの進化と流行でした。 1999年からは、JNAが選出するネイルクイーンが話題を集めるようになり、特に2000年から3年連続ネイルクィーンに輝いた浜崎あゆみさんや2006年から3年連続で選ばれた倖田來未さん、メンズ部門では2008年のDAIGOさんらの存在により、幅広いメディアからも注目を集め*9、ネイル雑誌も活況を呈し、近年のSNSの展開と軌を一にし、さらにネイリストが社会的に認知されるようになっていきます。

高まる衛生管理の必要性

ジェルネイルブームを背景に、ネイル市場のすそ野が広がるとともにネイルサービスを提供する施設数も右肩上がりとなるとともにさまざまなトラブルが報告されるようになりました。価格競争も見られ、知識や技術の伴わないネイルサービスが提供されるようになっているとの指摘も成されるようになりました。その結果、2008(平成20)年10月16日には、国民生活センターから「つけ爪による危害-かぶれ、やけど、カビが生えることも-」が発表*10され、注意喚起が行われるに至りました。そのなかで主な危害として次の3点が指摘されました。
第1に、自爪への負担です。使用される用材やアクリル樹脂によりアレルギー反応や感染症などの危険性でした。第2に、サロン等で提供された施術技術の未熟さ、衛生管理の不備などです。第3に、使用される材料や用具に関する問題です。自分で購入した場合も含め、輸入品など成分表示から具体的な危険を確認できなかったりするケースも報告されました。そこで事業者への要望としては施術者及び開業者に、一定の水準以上の設備と知識・技術の確保が求められました。そして消費者に対しては、化学物質の使用リスクや危険性に留意するとともに、衛生管理を行い、異常を感じたら直ちに皮膚科への受診や認定サロンを選択する、時々爪を休ませるなどとアドバイスが示され、ネイルサロンにおける衛生管理の重要性が再認識されることとなりました。

ネイルサロン衛生管理士の誕生

衛生管理体制を整えたネイルサービス

前述のトラブルを受け、人の肌や皮膚の健康に関わるという観点から、JNAは、業界統一基準の普及、啓蒙を目指し、ネイルサロンの衛生管理に関するガイドライン「ネイルサロンにおける衛生管理に関する自主基準*11」を、第3者機関である「ネイル産業審議会」の認証を得て2009年12月に制定しました。
国民の健康を守る安全で安心なネイルサービスの普及と公衆衛生の向上に資することを目的に、2010年から「JNA認定ネイルサロン衛生管理士」制度も始まり、2020年12月末日で「ネイルサロン衛生管理士」の資格取得者数は、75,875名となっています*12。ネイルサービスの提供には、美容師免許のような国家資格が必要ではないため、誰でもネイル技術のサービスの提供は可能です。取り扱いに注意を要する化学物質も多く、安価な製品が自主回収された事例もあります。お客様に信頼される衛生管理体制を整え、安全・安心なサービスの提供がネイリストに求められています。

検定試験センターの発足

2008年には、JNAと独立して試験の主催・運営を行う一般社団法人日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)が発足したことにより、JNECの公益性が高まるとともに認定試験の社会的認知度も向上しました*13。そして日本ネイリスト協会から、最初の『ネイル白書』が発行されたのは、2008年のことです。 ネイリスト技能検定試験とは別に2010年からJNAジェルネイル検定試験も実施されています。

11月11日はネイルの日*14

11月11日は、「ポッキー&プリッツの日」「おりがみの日」など記念日が多い日としても知られています*15。JNAは、この日を2009年、日本記念日協会にネイルの日として登録しました。その由来は、英語表記の「NAIL」の中に縦線が4本あり、「1111」と読めること、人差し指から小指にかけて、4本の爪が「1111」と読めるからということにちなみ、11月は「ネイル月間」として、毎年様々なイベントやキャンペーンが実施されています。JNAが開催してきた世界最大のネイルイベントとも称される東京ネイルエキスポ(「NAIL COMPETITION(1998年~2000年)」は、2001年から、「INTERNATIONAL NAIL EXPO」)も、これまでほぼ11月に開催されてきました。
今後も衛生管理体制による安心と安全なネイルサービスの提供を目指すとともに、優れた技術とサービスとデザイン性から質の高さを兼ね備え、進化を続けるネイル業界の発展から目が離せません。

出典・参考文献

公益社団法人日本理容美容教育センター(2020年発行)『美容技術理論2』
NPO法人日本ネイリスト協会発行(2008)「ネイル白書2008-9」
監修NPO法人日本ネイリスト協会 仲宗根幸子(2015)「プロのネイリストになる!」
NPO法人日本ネイリスト協会発行(2015)「JNA SELEBRATING 30YEARS STORY OF 1985-2015 NPO法人日本ネイリスト協会創立30週年記念誌」

脚注

*1 公益社団法人日本理容美容教育センター(2020年発行)『美容技術理論2』P.37~39.
*2 NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)発行(2014)「JNAテクニカルシステム ベーシック」P.8~11.
*3 NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)発行(2014)「JNAテクニカルシステム ベーシック」P.35.
*4 木下美穂里著(2012)『Beautiful Nail Revision』新美容出版株式会社P.3.
*5 日本ネイリスト検定試験センター
*6 NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)(2015発行)「JNA SELEBRATING 30YEARS STORY OF 1985-2015 NPO法人日本ネイリスト協会創立30週年記念誌」P.13.
*7 NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)(2015発行)「JNA SELEBRATING 30YEARS STORY OF 1985-2015 NPO法人日本ネイリスト協会創立30週年記念誌」P.15.
*8 NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)(2015発行)「JNA SELEBRATING 30YEARS STORY OF 1985-2015 NPO法人日本ネイリスト協会創立30週年記念誌」P.24. ネイルマックス創刊20周年記念 共にネイル業界を盛り上げてきたネイルヒストリー
*9 NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)(2015発行)「JNA SELEBRATING 30YEARS STORY OF 1985-2015 NPO法人日本ネイリスト協会創立30週年記念誌」P.32~33、P.94.
*10 「平成20 年10 月16 日独立行政法人国民生活センター「つけ爪による危害―かぶれ、やけど、カビが生えることも―」
*11 ネイルサロンにおける 衛生管理自主基準
*12 日本ネイリスト協会HP ネイルサロンの衛生管理 「ネイルサロン衛生管理士」資格制度
*13 NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)(2015発行)「JNA SELEBRATING 30YEARS STORY OF 1985-2015 NPO法人日本ネイリスト協会創立30週年記念誌」P.43.
*14 NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)(2015発行)「JNA SELEBRATING 30YEARS STORY OF 1985-2015 NPO法人日本ネイリスト協会創立30週年記念誌」P.50.
*15 一般社団法人日本記念日協会HP

  • 学校案内
  • アクセス
  • 募集要項
  • 総合型選抜(旧:AO入学)
  • WEB出願
  • 教員・職員募集
  • 国際文化学園事業部
  • 国際文化学園 美容考古学研究所
  • THE BARBER
  • 在校生の保護者の皆様へ
X
Instagram
Other SNS
  • Facebook 渋谷校
  • Facebook 国分寺校
  • X
  • Instagram
  • LINE
  • YouTube
  • 東京の美容専門学校は国際文化理容美容専門学校。美容師・理容師の国家資格免許の取得に向けてヘアメイク・カット・ネイル・ブライダル・エステ・着付など、美容のすべてを学ぶ環境です。技術専門の教員が中心に授業や就職面をサポートします。また入学者を募集しています。総合型選抜(旧:AO入学)、学校推薦型選抜【指定校制】(旧:指定校推薦入学)、学校推薦型選抜【公募制】(旧:公募制推薦入学)、一般選抜(旧:一般入学)などのご相談は、オープンキャンパス・個別の見学会にてお待ちしております。