ヘアメイクが人気だ。

　雑誌やテレビ、映画の撮影に立ち会えたり、芸能人と知り合いになれたり、なんならタレントと結婚できたりと、華々しい特別な体験が得られる職業だと思われているからに違いない。

　確かに、この職種にはそうした側面も無いわけではない。どころか、通常の会社勤めの御仁よりも格段に芸能界というものに接する機会が多い職業ではある。

　だから人気なのだろう。自分の能力が発揮でき且つそれが評価され、且つ人が羨むようなポジションに就けるわけだから、人気の理由に疑問を差し挟む余地などない。加えて綺麗な花には棘がある的に、表面上華々しい仕事であってもその実苛酷な仕事だ、などということは言わずもがなで、そこはどんな職業であっても同じだから喧伝するつもりなど毛頭ない。志ある人はどんどんヘアメイクを目指せばいい。

　ただ一つ、ヘアメイクという職業には、オールマイティーさが求められるという点を忘れてならないのだろうと思う。何が起こるか分からない撮影現場ではあらゆる事態に対応しなければならない。ただメイクが上手い、ヘアセットが上手いだけでは済まされない臨機応変さが求められるのであり、その臨機応変さを裏打ちするオールマイティーな技術力が必要不可欠なのに違いなく、そうした技術を会得するには経験がモノをいうに違いない。

　などと、アップヘアを手繰る抜群の手さばきとヘアデザイン画を描く秀逸なセンスを学生向けのステージで魅せつけた『FERRIE代表 新井唯夫』さんの『特別授業』をパチリするにつけ、ヘアメイクとしても活躍する氏の仕事ぶりに、ヘアメイクに求められる技量について考えさせられたワタクシでありました。

　本学（国際文化理容美容専門学校 渋谷校/国分寺校）では、こうした理美容業界でのトップランナーを講師に招いた『特別授業』を年に数回開講しており、学生たちは都度何らかのインスピレーションを受けているようであります。