国際文化理容美容専門学校

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厚生労働大臣指定

理容室と美容院の店舗数について

NUMBER OF HAIR SALONS

理容室と美容院の店舗数について

理容室(所)と美容院(所)の数の違いはご存知でしょうか。厚生労働省の「衛生行政報告例*1」によると、2022(令和4)年度の理容室は11万2,468軒、美容院数は26万9,889軒に上ります。これは厳密には理容師法第1条の2第3項で定められる「理容所」と美容師法第2条第3項に定められる「美容所」のことです。統計局の職業大分類N-生活関連サービス業の中に、「782理容業」の説明には、主として頭髪の刈り込み,顔そりなどの理容サービスを提供する事業所をいう。理容業として、理容店、理髪店、床屋、バーバーを理容所としています。また「783美容業」の説明には、主としてパーマネントウェーブ、結髪、化粧などの美容サービスを提供する事業所をいう。美容業として、美容室、美容院、ビューティサロンと示されています。日本全国の理容所と美容所の数を合わせると、何と約38万軒にも上っているのです。今回は、圧倒的な数を誇る理容室(所)と美容院(所)の店舗数の推移と現状を確認してみましょう。

理容室は11万軒台まで減少

1970年代後半までは、理容室の方が、美容院よりも上回っていたものの1978年に理容室は、142,888軒、美容院は、146,746軒と完全に逆転しました*2。その後、理容室は1990年代後半から減少に転じて2020年度、ついに119,053軒まで減少し令和4年の衛生行政報告例の概要では、理容室(所)は、前年度に比べ1,935施設(1.7%)減少し、約11万2千軒台まで減少しています。その要因は高齢化と後継者不足です。2024年の「理容業の振興指針(令和6年厚生労働省告示第96号)」*3によれば、平成27年度調査において、経営者の年齢については、60歳から69歳の者の割合が31.1%、70歳以上が32.2%となり、経営者の高齢化が進んでいることが指摘され、理容業界では若年労働力が求められています。そもそも理容師免許の新規免許取得者数が美容師免許取得者数の約15分の1しか居ないという現状*4も看過できず新規理容師免許取得者は、まさに「金の卵」と言えるかも知れません。

美容院は27万軒に迫るまで増加

半世紀以上前の1949(昭和24)年には、理容師は約11万人、美容師が約5万人と美容師数の方少なかったとはにわかには信じがたいと思われますが、前述の令和4年の衛生行政報告例の概要では、美容室(所)は、前年に比べ、5,666 施設(2.1%)増加して27万軒台が目前の、269,889軒と前年度比5,666軒増、増加率は2.1%と、美容業界誌では例年紙面を踊ります。よく比較されるコンビニエンスストアの店舗数は、全国に55,769軒*5でその推移は、近年横ばいでオーバーストアも指摘されていることと比較しても、理容室はその約2倍、美容院は約4.5倍に上ります。他にも近年その多さが指摘される歯科医院の施設数は68,506と報告*6されており、理容室と美容院の合計は、約5.4倍となっていることからも施設数の多さは特筆に値します。
しかし、この数字は実店舗としての実数なのかは以前から業界内でも議論の的となっていました。というのも厚生労働省の衛生行政報告とは別に、総務省と経済産業省による「経済センサス」*7という全数調査が行われています。

総務省統計局の経済センサスの調査とは

「経済センサス」とは、我が国における包括的な産業構造の実態を把握し、事業所および企業を対象とする各種統計調査の実施のための母集団情報を整備することを目的として総務省統計局が実施するものです。「センサス」とは、古代ローマにおいて、市民の登録、財産及び所得の評価、税金の査定などを行う職業をラテン語でCensereといい、これが転じてCensusが語源とされています*8。
具体的には「基礎調査」と「活動調査」から構成され、産業分野別統計の精度向上に大きく寄与することが期待されています。事業所単位での調査によって、より実体経済に近い産業規模や経済活動を反映していると捉えることができます。特に理美容業界では、厚生労働省の衛生行政報告例の保健所によるデータは、新設申請は、毎年積算されているものの、廃業届が出されていない場合もあることが指摘されるなど、実数より過大な数であると推測されています。そこで理美容業界の店舗数(施設数)を語るうえで、経済センサスについても次にデータを見てみましょう。

経済センサス調査で美容業は事業所数第1位に

「平成28年経済センサス‐活動調査(確報)」*9によれば、平成28年6月1日現在の事業所数は557万8975事業所、従業者数は5687万3千人となっています。産業小分類別ランキングで、事業所数上位100産業小分類において、平成28年の順位が第1位となったのは美容業です。下表に*10示される通り、平成24年順位の第2位から飲食業の専門料理店を逆転し、産業計に占める割合が3.2%と並び事業所数で上回った結果でした。

28年順位 24年順位 変動 産業小分類項目例 事業所数 産業計に占める割合(%)
1 2 (↑ 1) 美容業 172.304 3.2
2 1 (↓ 1) 専門料理店 171.166 3.2
3 3 (← 0) 賃家業、賃間業 144.370 2.7
4 4 (← 0) その他の飲食料品小売業 132.479 2.5
5 5 (← 0) 酒場、ビアホール 124.976 2.3
6 6 (← 0) 他に分類されない小売業 102.095 1.9
7 17 (↑ 10) 老人福祉・介護事業 100.549 1.9
8 7 (↓ 1) 理容業 99.704 1.9
9 8 (↑ 1) バー、キャバレー、ナイトクラブ 95.674 1.8
10 9 (↓ 1) 医薬品・化粧品小売業 89.453 1.7
11 13 (↑ 2) 自動車小売業 83.887 1.6
12 12 (← 0) 療術業 83.064 1.6
13 11 (↓ 2) 一般診療所 82.951 1.6
14 10 (↓ 4) 教養・技能教授業 81.440 1.5
15 14 (↓ 1) 土木工事業(舗装工事業を除く) 71.934 1.3
16 15 (↓ 1) 喫茶店 67.198 1.3
17 19 (↑ 2) 歯科診療所 66.337 1.2
18 16 (↓ 2) 婦人・子供服小売業 64.013 1.2
19 20 (↑ 1) 菓子・パン小売業 61.922 1.2

美容業の事業所数は172,304で他方、理容業は、8位と平成24年調査より順位を1つ落としていますが、それでも事業所数は、99,704で1.9%を占めており、美容と理容を足すと272,008事業所と報告されています。

コンビニの約5倍、信号機をも大幅に上回る

現在は、理容室の約2倍も美容院が多く、また理容師美容師養成施設である理容美容専門学校においても理容師を志す高校生より美容師を目指す高校生の方が圧倒的に多い現状です。美容院が20万軒を超えたのは、カリスマ美容師ブームの草創期の1998(平成10)年のこと*11、日本に設置されている信号機の数が約20万基あることから、信号機より多くなったと理容美容業界内では話題となりました。
前述の厚生労働省による衛生行政報告の38万軒と経済センサス調査の事業所数には、約10万の差があり、これは理美容所と事業所に対する調査方法の違いが背景にあると思われ、統計の正確さも含めて、理美容ともに高い回廃業率もありどちらが実態に近いかは議論が分かれるところでしょう。いずれにしても減少傾向が続く理容室に対し、産業省分類別の順位で第1位の事業所数を誇り27万軒に迫る美容院の競争をどのように切り拓いていくのか。令和6年度「美容業の振興指針」にも示されている通り、従来型の住宅地に立地し、中高年の経営者による小規模個人経営の店と、商業地や交通至便の場所に立地する比較的新しい店や法人経営の中規模・大規模店の二層分化(二極化)の傾向に対して、ヘアサロンの方向性やコンセプトからどのような経営戦略・マーケティングを考えていくかが問われます。

出典・参考文献

令和4年度衛生行政報告例の概況

脚注

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