前回に引き続き、カルティエ財団で開催しているスイス人女性フォトグラファー：クラウディア・アンドゥジャールの「ヤノマミ」の写真展を紹介します。

ヤノマミはブラジルで最も大きい先住民族の一つです。

今回はヤノマミを保護する為に彼女が行ってきたプロジェクトや社会へ対するアプローチをご覧下さい。このモノクロのポートレートは80年代初頭、ヤノマミのワクチン接種のキャンペーンの一環です。顔・体に焦点を合わせ、丁寧に一枚一枚、被写体の心理状態に注意を注ぐ事で、この親密な感覚が生み出されています。ヤノマミの豊かな人間性、尊厳、優雅さが感じられるインパクトのあるシリーズでした。

こちらのドローイングのプロジェクトはヤノマミの自然と宇宙について彼ら自身がその概念を表現する事が大事だという発想からから始まりました。ヤノマミのコミュニティにマーカーと紙を備えさせて、いつでも、誰でも描ける様に。今では、この様にヤノマミの神話、伝説、儀式、シャーマニズムのビジョンが溢れています。例えそれを知らなくても、イマジネーションを刺激させられる楽しい絵（＝話）がいっぱいです。

最後に改めて、この作品を紹介します。

これはクラウディア・アンドゥジャールというファインダーを通して撮影されたYanoと呼ばれる彼らの集合住宅です。

彼らは移住したり、コミュニティが伝染病に侵され、それから脱出したい時、もしくは大事な酋長の死を迎えた時、Yanoを焼き払う事がよくあります。

この時期のために開かれた写真展ではないけれど、調和のとれた世界が文明の進歩によって破壊されてゆく形を象徴されている様な、日々の生活の中にある大切な何かを思い起こさせる、そんな気分でカルティエ財団の中のヤノマミの森を出てきました。

m.ogawa (paris)