「求めよ、さらば与えられん」と、イエス・キリストは云った。

　と、マタイの福音書は伝える。

　キリスト教徒であろうとなかろうと、欲しいものは求めなければ手に入らないと思うし、手に入れるための努力は尊いものだと思う。でも一方で、欲しいものに囚われると手に入らないかぎり幸せになれないので、欲しいものから解放されなさい、つまり欲を捨てなさいとお釈迦さんは説く。

　さて、どうしたものだろう。ワタクシは仏教徒（別に得度しているワケではない）ということにしているので、お釈迦さんの言説に従うべきだろうが、今の時代に出家もせず禁欲生活を送るのはムズカシイ。ちょっと待て、お釈迦さんは禁欲も享楽も両極端はいけません（中道という考え方）とも説いたハズ。ならばほどほどでいいということか。否、仏陀の説いた中道は紀元前5世紀という時代のホドホドであって、たぶん今の時代ならば修行僧の生活レベル、いやいやそれ以上だったかもしれず、ひどく禁欲的だったに違いない…。

　とまぁ、思索のラビリンスに迷い込んでしまったのは、先日、本学（国際文化理容美容専門学校 渋谷校/国分寺校）で行われた『体験入学会』で、技術体験に興ずる皆さんの真剣な様子をパチリしたから。

　その表情からは未来を拓こうとする決意のようなものが読み取れ、決して観光気分のそれとは一線を画したピリリとしたものが伝わってくる。

　生活様式も社会基盤も概ね西洋化（＝キリスト教社会化）している近代日本。やっぱり欲しいものは求めなければ手に入らないのでありましょう。