例えば野球選手。

　ものごとは基本が大切だから、野手はただ只管（ひたすら）にバットの素振りを繰り返す。プロになるような選手はいったい生涯に何回バットを振り込むのだろう。

　例えば理美容師さん。

　ヘアカットとパーマはスタイリングの基本だから、学生の頃からこの技術を繰り返し練習する。生業（なりわい）としてこの職業に就く人は、いったい生涯に何回ハサミの開閉とワインディング（ロット巻き）を繰り返すのだろう。

　とりわけ特殊な技術や技能を伴う職種は、徹底的に基本を繰り返して練習しなければならない、てなことは言わずもがな、そんなことは誰だって解っているに違いない。

　問題は、その練習の継続が非常にムズカシイということで、簡単にできてしまったらみんながみんなプロ中のプロになってしまうという事態になる。それはそれでいいような気もするが、きっとその単純な繰り返しが嫌で他の職業に転職する人が出てくるわけで、そのことで世の中のバランスは保たれているのかもしれない。

　で、なぜ基本練習の反復がムズカシイのかといえば、それは簡単なハナシで基本動作を繰り返す単純作業は退屈でツマラナイからに違いない。結局世の中、これをストイックにやり続けられる人が最終的に勝利の美酒を味わうことになるのだろう。ドジャースに移籍の決まった大谷翔平しかりなのである。まさに継続は力なのだ。

　先日、本学（国際文化理容美容専門学校 渋谷校/国分寺校）では『2学期末試験』が行われ、学生は理美容の基本、ヘアカットとワインディングの技術レベルがチェックされておりました。

　彼、彼女らは、いったいこれから生涯に何回ハサミの開閉とロット巻きを繰り返すのでありましょう。