- 24.06.12
せめぎ合い
［社人研］（国立社会保障・人口問題研究所）によれば、『2020年国勢調査』の結果から2040年時の『生涯未婚率』を推計すると、男性で30,4%、女性で22,2%になるのだそうだ。つまり2040年の日本では、ほぼ全男性の1/3、全女性の1/4が生涯に亘って［シングル］を選択する時代になるということだ。
ここでいう『生涯未婚率』とは、50歳時の未婚率だそうで、2020年時の『生涯未婚率』は男性28,3%、女性17,8%だったものが、ここのところの物価上昇や実質賃金低下、社会保険料の値上がりなどに加え、世界中に蔓延（はびこ）る政情不安や自然環境悪化の影響を受けて若者の［将来への不安］が増し、『生涯未婚率』も上昇すると考えられている。
また、「選択的非婚」や「選択的無子」といった、［結婚］自体を望まない、もしくは［結婚］はしても子供を産まない［選択］をする人たちも増えるだろうと予測されている。
そんな［婚姻］というカタチ自体に疑問符がつく将来の日本。きっとそれに伴う［婚礼］という［儀式］もまた、従来のカタチからの変容に迫られるに違いない。
でも、それはある意味［正いカタチ］だ。生活や習慣、服装、あらゆる［スタイル］は時代によって変わるものだ。［旧いもの］と［新しいもの］が［せめぎ合い］ながら時代を形づくっていく。淘汰されたり見直されたりしながら［スタイル］は継承されるのだ。強いていえば、旧いと時代に取り残されるのではなく、［新しいもの］を形づくるのに［旧いもの］が必要なのだ。
ならば、［旧来のスタイル］を強く伝承したいというベクトルもまた［是］ではないのか。
そして本学（国際文化理容美容専門学校 渋谷校/国分寺校）は抗（あらが）う。変容を遂げようとする［スタイル］に。微力ながら［きもの］という［美］を［婚礼のスタイル］に遺すために。
そんなわけで、少々荒療治かもしれないが、本学では2年生になると女子も男子も全員で［文金高島田］に［大振袖］という［伝統的な花嫁仕度］に身を包んで［写真撮影］を行なっている。
これはある意味、［婚礼スタイル］は概ね［女性が考えるべきもの］という社会の認識に対する［アンチテーゼ］か。はたまた先駆する［ジェンダーレス］の試みか。はたまた手の込んだ冗談か。
時代は、そして文化は、いろいろなものが［せめぎ合い］ながら形づくられるようであります…。これでいいのだ by バカボンのパパ。
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