国際文化理容美容専門学校

渋谷校/国分寺校
厚生労働大臣指定

ヘアサロンの競争と方向性について

HAIR SALON COMPETITION AND FUTURE

ヘアサロンの競争と方向性について

厚生労働省の「衛生行政報告例」*1によれば理容室(所)と美容院(所)の合計は、約37万軒に上ります。また総務省統計局と経済産業省による「経済センサス活動調査」*2によれば、美容業は事業所数で第1位となっています。 顧客ニーズの多様化に加え、都市部と地方における商業圏の違い、繁華街・住宅街などの立地の違いなどを背景に、ヘアサロンの競争はますます激化し、様々な方向性に進化・発展を続けています。今回は圧倒的な数の多さを誇るヘアサロンの方向性を確認しながら経営戦略について考えてみましょう。

低くなる理容と美容の垣根

ヘアサロンが集積している大都市圏では、理容室と美容院の垣根が低くなっています。一見すれば、理容室か美容院なのかなのかは、判別できないタイプのサロンも見られるようになっています。例えば、クイックカット(カットのみを提供する専門店で、理容師が働くお店は理容所登録、美容師が働くお店は美容所登録されているケースが多い)は低価格により顧客のニーズの獲得に成功しています。また一見すると美容室の様に見えるユニセックス(女性もターゲットにした理容所登録のヘアサロン)やメンズグルーミングサロン(男性に対するエステやヘッドスパ、ネイルケアからアイブロー、フェイシャルなどをトータルで提供するメンズ向けのトータルビューティサロン)は、美容所登録のケースもあります。

ヘアサロンの方向性を考える

理美容業界においても低価格化と高付加価値店化という2極化の方向性に加え、従来型の地域に立脚した店舗形態の個人経営型のサロンも存在感を発揮しています。美容師・理容師養成施設である理容美容専門学校で学ぶ必修課目のなかには経営全般に関して学ぶ「運営管理」という科目があり、資金管理や労務管理、マーケティング、接客法について学びます。そのなかで、「理容業・美容業の経営について」に「競争の変化」として、以下の4つの方向性が整理*3されています。それぞれの特徴を確認してみましょう。

A低価格化

低価格店の台頭を象徴するのがクイックカットとも称されるヘアカット専門店の存在です。「10分1,000円」という従来なかった全く新しいビジネスモデルとして登場し、経営学関連の著書にも度々紹介されていています。また持込によるヘアカラーのみを提供するタイプの業態も現れ、セルフスタイリングや回数券を販売するなど節約志向の消費者へ訴求しています。このタイプのヘアサロンでは特定の技術に特化したスキルや知識が修得できる反面、サービス内容が限定されるという側面もあります。そのため転職のときに、選択肢が狭まるという点にも留意が必要になるでしょう。

B高級化・ファッション重視

ブランド力のある有名店やカリスマ美容師たちがしのぎを削る激戦区エリアのヘアサロンでは、サービスメニューも比較的高価格帯となり、付加価値の高いサービス・クオリティと技術・ファッションセンス・人間性も求められます。近年はSNSによる情報発信力も求められることから一般的に競争も激しく、スタイリストデビューまでの期間も長い傾向があり、またデビュー後は、歩合制の割合が高くなりスタイリスト一人ひとりの実力が問われるでしょう。

C複合化・総合サービス化

トータルビューティという側面もありますがエステティックやウィッグ、マッサージからスポーツジムまでより幅広いニーズを様々な業界と連携する形で新しいサービスを模索していく方向性です。ファッションブランドからカフェ、そしてペットのグルーミングまでお客様のライフスタイルとともに新たな価値の創造を模索します。これは個人店のヘアサロンと企業型の多店舗展開している場合とで実現される付加価値の方向性も異なるでしょう。

D家庭内生産

ホームヘアケアは、カラー以外にもカットやパーマなど時間とお金の節約だけでなく家族の楽しみという側面も指摘されています。またドラッグストアや家電量販店ではヘアケアからスタイリング、頭皮エステまで、様々な商品が展開され、セルフカットを紹介する動画やSNS上でも市販の商品のランキングや使用方法などの情報が溢れています。薬剤の品質や使用法によっては、ヘアサロンに比べてダメージを受けやすい場合もある様ですが、顧客のニーズを明らかにしてヘアサロンにお客様を呼び戻すことが求められるといえるでしょう。

上記のヘアサロンの方向性は、サロンコンセプトや個人店などの地域密着店から有名店まで厳密な定義として明確なものではありません。総じてAは、低価格で利便性を追求しており、業界誌では「リーズナブルサロン」や「メンテナンスサロン」*4ともいわれ、企業型のチェーン店を展開し店舗数と売上を伸ばしています。これは消費者のニーズとして「伸びたから行くヘアサロン」という捉え方もされています。
他方、BとCは、立地とブランディング、高い技術力により訴求しています。特にブランド力を高めるのは、例えば芸能人やモデル、スポーツ選手などが通うことで一定のステータスも獲得し、付加価値を高めています。ハイブランドサロンやプレミアムサロンとも称され、また地域に立脚しつつ高価格のサービスやサロン専売品といわれるブランド力のある高品質なプロダクトを提供し差別化を図ります。
それぞれの方向性に象徴される特化されたA~Cのどこを狙っていくのか、経営戦略の視点に留まらず、アシスタントからスタイリストへのキャリアを考えた時、そこでの働き方も自ずと異なってくる点にも留意が必要になるでしょう。

ターゲットとポジショニングを考える

ヘアセット、ヘアアレンジ、まつ毛エクステンションの専門店など、従来はなかったような特定のサービスに特化した新しいタイプの専門店が台頭し、他方、メンズグルーミングや、フェードやエッジの効いたデザイン性の高い理髪店まで多様化と進化し続ける理容室と美容院は、従来のイメージを超えたビジネスモデルが展開されるようになりました。
顧客となるターゲットをセグメント(区分)しながら、俯瞰的な視点からどのようなニーズに対し、顧客満足を提供するかというポジションを明確に打ち出しいくことが求められると言えるでしょう。理容美容業界の経営に関する業界誌では、常にサロンコンセプトや「店舗デザイン」*5とレイアウトなどの空間設計とともに「ブランディング」*6が特集されています。
特に、「平成28年経済センサス‐活動調査(確報)」産業小分類別ランキング美容業の事業所数は172,304と第一位を誇り、産業構造として高い回廃業率に特徴があることからオーバーストアとされるヘアサロンが生き残るには、SNSに代表されるマーケティングと経営戦略を確かなものとして、ファッションやトレンドとともに時代の変化に対応していくことが必要です。

脚注

*1 厚生労働省資料 平成30年度衛生行政報告例の概況
*2 政府統計の総合窓口資料 平成28年経済センサス‐活動調査(確報)産業小分類、市町村、都道府県のランキング P.1
*3 公益財団法人日本理容美容教育センター(2020)『運営管理』P.30~31
*4 髪書房(2017)『NEXT READER』 Vol.85、P.12~15
*5 新美容出版(2013)特集トータルビューティが成功する店舗デザイン『美容と経営』No.581、10月号
*6 理美容教育出版(2020)特集ブランディング『SALON OWNER』No.697、1月号

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